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箸の持ち方の教え方。我が子にしてあげたい4つのこと【管理栄養士ママの体験談】

「子どもには、正しい持ち方でお箸を持ってほしい」
という願いは、幼児期から学童期の子どもを持つママの共通する思いのひとつなのではないでしょうか。

「箸の持ち方がおかしいのが気になる」
「箸の持ち方を矯正したい!」

というお声は、管理栄養士として、また子どもを持つママとして、よく耳にします。

それもそのはず、文部科学省の調査で「箸を正しく持って使える」割合は小学全体で2割以下という結果データがあるほどなのです。箸を正しく持って使うことの難しさが分かりますね。

私自身、我が子の箸の持ち方を矯正した経験があります。
私が子どもの箸の持ち方の矯正に取り組んだのは息子が8歳のときですが、その経験から、我が子に、もっと早くから取り組むべきだった4つのことをまとめました。
作業療法士の先生にもご相談し、アドバイスをいただきました。

今回の記事を読んでいただくと、子どもの箸の持ち方で悩むママが「今、やるべきこと」がわかりますよ。

箸の持ち方がおかしくなるのは理由があります。
順を追って、見て行きましょう。

Writer Profile
管理栄養士のYUMIです。マイペースな小学生男子を育てるせっかちママ。どんなに忙しくても、最初の「いただきます」はみんなそろって言うのが食事のこだわり。キャリア15年以上の食の専門職として、ママたちに伝えたい、知っていると役立つ情報を発信していきます!

箸を正しく持てないのは、教え方が悪いの?

「食事は楽しく」が私のモットー。
家での食事の際は、子どもがストレスにならないように、箸を使うことを強要せず、使いたいものを使って食べてもらっていました。
その結果、私は我が子に対して、箸の持ち方を教える機会を幼児期にあまり持てなかったかな…という反省があります。

保育園に通っていたので、園で箸の持ち方の指導をしていただいていたこと、保育園に毎日箸を持参していたことで、どこか安心していたのかも知れません。

たしかに、我が子は私が教えなくても箸を持って使えるようになりました。
しかし、子どもまかせにしていると、子どもによっては持ち方がおかしいままになってしまったり、箸を使うことを嫌がるようになってしまったりすることも。

保育園に通っていて、お箸トレーニングを園でしている場合でも、「正しく使えるようになっているか」についてはおうちでもたまに気を付けてみてみる必要があります。
気になることがあれば、園に相談して、気を付けてみていただけるようお願いしてもいいかもしれませんね。

小学生でも「箸を正しく持って使える割合が低い」という事実からも、箸を継続して正しく使うようになるためには、子どものやる気を引き出す手助けと、長い目で見守ることが必要なことがわかります。

では、箸のトレーニングに際してママ&パパが気を付けるべきこと4つについて見て行きましょう。

箸トレーニング心得① 手指を使う遊び&習慣を取り入れる(赤ちゃん~幼児期・学童期)

箸を正しく持つには、手指を使った遊びや動作をたくさん生活に取り入れることがとても大切です。

比較的使いやすい親指と人差し指だけではなく、中指も器用に使う必要があるからです。
例えば、服のボタンが留められる、折り紙粘土で遊ぶ、ハサミを使う、衣服をたたむなど、手を使う動作が問題なくできることが箸を上手に持つために重要です。

箸が持てないときに箸ばかりを練習しても、実はあまりうまくいきません。
箸を正しく持てるようになるためには、手指を使った動作を遊びや生活にたくさん取り入れて、手指の能力を全体的に高めていくことが有効です。

とはいえ、忙しいママには、毎日の朝晩にゆっくりそのような時間をとってあげるのが難しいもの。
生活が成り立つ範囲で、無理なく取り入れていくために、こんなアイデアはいかがでしょう。

普段着はかぶりの服でも、パジャマはボタンのものにする

寝る前ならボタンが上手くできなくてもストレス低め。 いろいろなパジャマを扱っている専門店の通販なら、価格も手頃。楽天ポイントもたまるパジャマ屋さんがおすすめ!

夕方や休日の「お手伝い」の時間に、エプロンを着ける

子どもに、サラダの盛り付けやお箸を並べるなどのお手伝いをお願いしてみましょう。食育や、親子のコミュニケーションにもいいですよ。
エプロンを着けてそのまま食事をすれば、食べこぼしも安心。腰ひもが前で結べてサイズ調整もできるカラフルキャンディスタイルのエプロンはちょう結びが後ろ手でできない子どもでも着脱しやすく、長く使えます。

園・学校から帰ったら、自分のランチョンマットや給食袋をたたんで明日の準備

自分の支度は自分で! 室内干しor乾燥機から自分でとって、たたんで、幼稚園バッグに入れる(小学生なら給食袋の準備)、という習慣で、手先を使いながら自立心も養います。毎日の積み重ねの効果は大きいですよ。

帰宅後の遊びは、工作系に

夕食準備の時間帯、ついついTVやiPad・スマホに頼りがちになりますよね。
でもリビングの一画に「工作グッズ」を入れた箱を用意してみて。100均の軽い粘土や折り紙、ハサミ、空き箱、工作ワークの本などを入れておき、それで遊ぶように促してみましょう。「作ったら見せてね~」と声掛けをしてコミュニケーションを取って。
YouTubeやゲームに頼る時間も減って、一石二鳥!

見た目に可愛い粘土遊びグッズなどもよい手助けに。ボーネルンドの「かんてんねんど」や、「お米のねんど」「小麦ねんど」などなら、食事前に遊びでも気になりません。Amazonで1,000円以下のお手頃なものもたくさん見つかります。

休日のお出かけにはシャツを着てみる

我が家は、レストランに行くときと旅行の初日は、シャツやポロシャツなどボタンのある服を着るルールにしています。きちんと感が高まってお出かけ気分もあがります!

……などなど。
何か一つでも、ハウスルールを作って習慣化してしまうのもよいと思いますよ。

箸トレーニング心得② 箸を早く持たせすぎない

早い子だと、1・2歳代で箸を使いだす子もいます。
周りが箸を使いだすと、「我が子もしなきゃ!」という気分になってしまうことも。
でも、適切なタイミングで箸を持たせる、ということも重要。手指の機能が未熟なうちには箸を持たせないのがおすすめです。早ければいい、というわけでもないのですね。

3〜4歳ごろになると、そろそろ箸を持たせたいと思うママも多いと思います。私が以前に勤めていた保育園でも、年少に上がる少し前くらいから箸を使い始めていました。

食べ方と年齢の関係は、おおまかにいって以下の通りです。

1歳台では、「手づかみ食べ」が始まります。
「手づかみ食べ」は、食べ物を目で確かめ、手指でつかんで口のなかに取り込みます。
この目と手と口の「協調運動」と、指先に伝わる食べ物の固さや大きさの感じ取ることが箸を使うようになるために必要なのです。
手やお洋服は汚れてしまうけど、「手づかみ食べ」も大いに経験させてあげましょう!

2歳台では、スプーンやフォークを使い始めます。
スプーンの持ち方は発達に応じて変化していきます。スプーンやフォークの握り方は、手のひら握り、手指握り、鉛筆持ちへと変化します。
手指の巧緻性が高くなることで、親指と人差し指、中指で支えられるようになるのです。
スプーンやフォークの鉛筆持ちができるころが、箸を持たせるにはよいタイミングでしょう。

「そろそろ箸を?」と思ったら、「鉛筆持ちができているかな?」という点に着目し、急ぎすぎないようにしましょう。

箸トレーニング心得③ 食事イスの高さを整える

普段はあまり意識していませんが、「箸で食事をする」ということは、目と手、口が協調した動作です。
食卓の高さが合っていないと、視野がせまくなったり、姿勢が崩れてしまったりして、箸や食器を上手く持ちにくくなる、ということがあります。

箸を使い始める年齢は、身体の成長も著しく、今まで使っていた赤ちゃん用のイスの高さが合わなくなってきていることも。
高さ調節ができるイスなら、ぜひ座面や足置きの高さを再確認して調整しましょう。

体に合ったイスに座ると、体重がしっかり支えられて食べ物が見やすく、口に運びやすくなるのです。

箸トレーニング心得④ 長い目で見守る

実はこれがいちばん大事かも。

お箸を使い始めの頃は、上手にお箸を持った状態を保つことはなかなか難しく、お箸を持つ手指の形が崩れてしまいがちです。

例えば、お箸がクロスしたり、握り持ちになったり、という状態ですね。そうなると、「はさむ」動作ではなく、食べ物を「かきこむ」食べ方になってしまいがちに。

そのような持ち方になるのは、子どもにとって「その方がラクだから」なのですが、もし変な持ち方になってしまったら、直して上げることが重要です。
でも、ここで怒ったりイライラしたりしてしまっては、「お箸=ママが怒る」と子どもにインプットされてしまい逆効果。

ある程度は「ま、いっか」の精神も持ちつつ、ステップ・バイ・ステップで無理なくやっていきましょう。

お箸が嫌になってしまわないように、「じゃあ今日はここからもうスプーンで食べようね」としてもOK。でも、持ち方が「鉛筆持ち」になるようにだけ、気を付けてみてください。

「鉛筆持ち」の、子どもがよろこぶ教え方は、「バキューンの手」
次回の記事で写真入りで解説していますので、ぜひ見てみてくださいね。

無理をして箸を使わせて間違った持ち方で使い続けてしまうと、あとから矯正するのにもっと時間がかかることも(我が家はこのパターンです)。
楽しく声掛けして、無理なく、徐々に。
おかしいな、と思ったらまた戻って、「鉛筆持ち」のトレーニングから始めてくださいね。

他の子と比べるのではなく、「昨日」や「ずっと前」と比べて、「上手になってきた!」「調子イイね!」とほめてあげましょう。

根気よく見守ることが大切です。

トレーニング箸の功罪。「エジソンの箸」っていいの?悪いの?

トレーニングお箸といえば、「エジソンの箸」が有名ですね。

トレーニングお箸は、指のポジションにリングがついていていることによって指が固定されますので、箸の使い方に不慣れな子どもでも、箸を持って食べ物をつかむ、という動作が可能になります。

しかし、これで「箸が持てるようになったわけではない」という点に注意

トレーニングお箸を使えるようになっても、いざリングなしの箸を持つと実際は正しく持てないことも多く、リングがあるので指の力を入れずに手の力だけで箸を動かせるため、なかなか普通の箸に移行できない、ということもあるようです。

手指がまだ発達しないうちは、生活や遊びにおいて手指をたくさん動かし、また、スプーンやフォークの「鉛筆持ち」のトレーニングを十分させることが大切であることを忘れずに。

トレーニング箸は賛否両論ですが、「お箸が持てた!つかめた!」という達成感と楽しさを子どもが感じられて、お箸に対して前向きに意欲的になれること、可愛いキャラクターが付いていてお箸を持つことにポジティブな気分がともなうことなどは大きな利点です。

トレーニング箸から自然に普通のお箸に移行できる子どももいますから、試してみるのもよいと思いますよ。

トレーニング箸を選ぶときのポイントはひとつ。
支点(2本のお箸がくっついている部分)が箸の上部ではなく、箸の中ほどにあるものを選びましょう。
実際のお箸も、そこが支点となるからです。

参考に、使用者の多いはじめてのお箸~トレーニング箸6選を、種類とそれぞれの評判をご紹介しておきますね。

エジソンのお箸

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はじめてのちゃんと箸(ののじ)

ちゃんと箸(イシダ)

トライ トレーニング箸(リッチェル)

子供用矯正箸 三点支持箸(イシダ)

六角知能ばし(箸匠せいわ)

我が家が使ったのは、はじめてのちゃんと箸(ののじ)です。
(ちなみに、左利き用)

【経験談①】作業療法士の先生は、「姿勢」と「視力」にも注目

我が子の箸の持ち方を矯正するとき、作業療法士の先生に相談してみましたら、意外な答えが返ってきました。

「姿勢」「視力」について尋ねられたのです。

ある大学での「箸・鉛筆の持ち方」と「姿勢」と「視力」の関連について調べた研究調査では、鉛筆の持ち方と箸の持ち方には相関がある(鉛筆が正しく持てる子は、箸も正しく持てることが多い)という結果もでていて、日常生活における動作が箸の持ち方に影響するのがわかっています。

私が作業療法士の先生とのご相談で知ったことをまとめた、子どもの日常生活において、気を付けたいことは以下の4つです。

1.箸だけでなく、スプーンや鉛筆の持ち方もチェック!
「鉛筆持ち」ができるように直してあげましょう。バキューンの手、ですね)

2.学習時の姿勢をチェック!

箸や鉛筆の持ち方が正しい子どもは、そうでない子と比較してノートから目までの距離を30cm程度保てている子どもが多いのだそう(30cm離れていると眼精疲労が起こりづらいと言われています)。

調査によると、「箸や鉛筆の持ち方がおかしい」ことと、「姿勢が崩れている」・「視力が悪い」ということには関連があるとのこと。箸の持ち方だけでなく、全身の姿勢にも注意を払ってみましょう。

3.睡眠時間をチェック!

睡眠が十分にとれていないと体に疲労感が残り、きちんと筋肉を使って姿勢を保つことができなくなります。きちんとした姿勢が保てないと、お箸や鉛筆も正しく持てません生活リズムに無理がないか、チェックしてみましょう。

4.スマホやゲームへの依存度合いをチェック!

スマートフォンや携帯ゲームなどは親指以外の指はほとんど使いません手指は使わなければ機能が衰えてしまいます。家庭において携帯やゲームの時間のルールを決めて、日頃からスマホやゲームは控えめに、手先を使った動作を取り入れることが大切です。 先の例のように、工作や洗濯物たたみ、食事の手伝いなどの習慣をつけたいですね。

【経験談②】我が家の箸のトレーニング・ステップ

実際に私が行った「我が子の箸の持ち方の矯正」の方法をシェアしますね。

ステップ1.正しい持ち方を、動画でわかりやすく見せました(一緒に視聴)

我が子は左利き、私は右利きだったので、左手での持ち方を上手く説明できなかったために左手の人の箸の持ち方の動画を見せました。
動画なら、パソコンのモニターやテレビなど大きい画面で見れば拡大されてわかりやすく、我が子はすぐに持ち方を理解したようです。

ステップ2.「ののじ はじめてのちゃんと箸」を使いました

箸の正しい持ち方はわかっても、実際にすぐ上達することはできませんでした。それまで使わなかった手指の筋肉はすぐに使えるようにならないので、これも想定内。
そこで、「ののじ はじめてのちゃんと箸」を使うことにしました。
(リングで指が固定される「エジソンのお箸」よりも、自然に正しく持つことができるかな?と期待しました)

箸には、カプラと呼ばれる補助具が付いていて、クロスになりにくく、上手に食べ物をはさむことができるように。正しい持ち方の感覚をつかむことができました。
カプラ(補助具)はソフトタイプとハードタイプがあり、レベルによって取り変えられます。

ステップ3.食事の時間“以外”に「普通の箸」の練習

食事の時間にカプラ(補助具)を外すと、なかなか上手く食べ物をはさめなくてストレスに。そのため、「補助具なしでの練習」は食事の時間以外に遊びとして行いました。

毎日5〜10分くらい、アルミホイルをさまざまな大きさに丸めたものをはさんだり、箸でころがしたりして楽しくトレーニング。スポンジを小さく切ったものでもつかみやすく、達成感を得やすいですよ。
遊び感覚で一緒に、近くで応援しながら行うことで、やる気を出してくれましたよ。

アルミホイルやスポンジができるようになったら、お菓子など好きなものをお箸でつかんで、「つかめたお菓子は食べてOK!」なんて感じでゲーム感覚で楽しくトレーニングできたらいいですね。
ツルツルしていない、くまさんのかたちのグミなどはつかみやすいかな、と思います。

まとめ:根気よく、楽しくトレーニングしていきましょう!

箸を正しく使うことは、大切な食事作法です。
しかし、大人でも正しく箸が使える人はわずか3割程度という調査データもあり、子どもならなおさら難しいですよね。
(ちなみに、いくつかのトレーニング箸には大人サイズのものも用意されています。
ママ・パパも、「ちょっとあやしい?」と思ったら、子どもと一緒にトレーニングしてもよいですね)

子どもの箸の持ち方の矯正に真剣に向き合ったら、箸の持ち方には姿勢や生活習慣などさまざまな要素が影響を及ぼしている、ということがわかりました。

食事の時間に箸の持ち方ばかり気にしていると、親も子どももついイライラしてしまいますから、「食事以外の時間に」「生活全体を見直すつもりで」「気長に」取り組むのが、得策といえそうです。

大人も子どもも、きれいな持ち方で正しく箸を使い、食べ物や食事を作ってくれた人への感謝の気持ちを目に見える形として表わせられる人になれたら素敵ですよね。

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