子どもの保育先を考えるとき、
「保育園と幼稚園のどっちがいいのかな?」
「保育園と幼稚園で、子どもの性格や学力に違いはあるのかな?」
と悩むこと、ありますよね。
そこで、「保育園児と幼稚園児」の両方を育てた経験のあるママたちに聞いた、「保育園っ子と「幼稚園っ子の違い」について、まとめてみました。
保育園/幼稚園で育った子どもの特色や、メリットと思ったこと・デメリットと感じたこと、いろいろな面での体験談をお伝えします。
ぜひ、園選びの参考にしてくださいね。
保育園と幼稚園の制度や施設としての違いについては、こちらの記事をどうぞ。
【保育園・幼稚園・認定こども園】 違いは? 費用は? 選び方は? 違いと特徴をわかりやすく解説
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コドモなび編集部:
入園・入学を控えたママ&パパ、園児&小学生のママ&パパに役立つ情報を発信しています。
目次
体験談1.保育園と幼稚園の違いをざっくりいうと?
保育園と幼稚園は、ともに小学校入学前の子どもを母子分離で預かる施設ですが、さまざまな点が異なります。
大きな違いとしては、以下の点が挙げられます。
・厚生労働省が管轄する児童福祉施設
・保育時間が長い
・給食が提供される
・預かり年齢は0歳~(園による)
・保育料が一律ではない(認可保育園は所得に応じて自治体が決定。認可外保育園は園が設定)
・文部科学省が管轄する教育施設
・保育時間が短い(※延長保育が充実しているなど、その限りでない園もあります)
・給食の園とお弁当の園(そのミックスも)がある
・預かり年齢は3歳以上
・保育料が一律(公立幼稚園は自治体が決定し、所得に関わらず一律。私立幼稚園は園が設定)
体験談2.保育園は「生活の場」、幼稚園は「教育の場」?
このように、保育園は、「仕事や病気などの理由で子どもの保育ができない子どもを保育士が保育する施設」、
一方、幼稚園は「小学校入学前の子どもの心身の発達を助ける教育施設で、満3歳以上の子どもを対象とする」という違いがあります。
そのため、仕事をしているママは保育園、仕事をしていない(もしくは、子どもの保育時間に合わせて仕事ができる)ママは幼稚園を選ぶ、という傾向がありますね。
仕事の都合で何度か引っ越しをしたので、これまで保育園・幼稚園含め複数の園にお世話になりました。それぞれの園での違いはありますが、総じて、保育園は「生活の場」、幼稚園は「教育の場」という側面が強いように感じます。(子ども3人・神奈川県)
上の子の園探しのとき、近所の園、2つの園で迷いました。一つは、お勉強をしっかりさせる系の幼稚園、一つは、どろんこになって遊ぶ系の保育園。保育園の方がのびのびとした雰囲気があり、保育園に決めました。(子ども2人・千葉県)
保育園でも、工作や運動の時間があったり、園によってはワークなどに取り組み教育的側面を重視しているところもありますが、おおまかにいって、基本的な生活習慣や集団生活での社会性を身につけることに重点を置いています。
幼稚園でも、外遊びをたくさん行ったり、自由保育(スケジュールが決められていなく、子どもがそれぞれやりたい活動に取り組むのを保育者が見守るというスタイルの保育)メインだったりする園もありますが、そうした園の多くでは、幼稚園教諭は遊びの中に教育的要素を取り込むことを意識しています。
うちの子が通ったのは完全自由保育の私立幼稚園。朝から晩までずーーっと好きなことをして遊んで過ごすので「もっとお勉強的なことを…」と最初は物足りなく感じましたが、保護者会で先生のお話を伺い、遊びの中で数を意識させたり、物の重力や引力を意識させる声掛けをしたりと、幼児期の算数っぽいことを働きかけていると知り、すごい!と思いました。(子ども2人・東京都)
体験談3.保育園と幼稚園の費用の違いは?
保育園でも、幼稚園でも、ほとんどの場合、助成金を受け取ることができます。
2019年10月、幼児教育・保育が無償化となりました。
無償化の対象となるのは、幼稚園・保育園・認定こども園に通う3~5歳のすべての子どもの保育料です。しかし幼稚園は上限額が月額2.57万円とされ、これを超える分は自己負担となります。また、認可外(無認可)保育所の場合は、認可保育所に入れない子どもの保育料が無償化の対象となります。無償となる保育料の上限は、認可保育所のひと月あたりの平均保育料である3.7万円です。
自分のケースではいくら助成されるかが気になる場合は、自治体や園などに確認をしてみましょう。
保育料の高額な園に通ったり、給食費や入園料、一時保育、園バスなどを利用する場合は、助成金ではまかないきれない費用が発生するケースもあります。でも、それでもだいぶ助かりますよね。
体験談4.保育園のメリットは、「生活の自立&主体性」
保育園と幼稚園、いちがいに「どちらがいい」とは言い切れません。
家庭のニーズや、理想とする親子関係の姿、生活パターン、保育に望むものは、人それぞれです。また、園の特徴も、園によってさまざまです。
しかしながら、複数の経験者のお話をまとめると、だいたいの傾向はあるようです。
「一般論ですが」という前置きをしながら、保育園・幼稚園のそれぞれのメリットとデメリットを見てみましょう。
まず、複数の人が感じた保育園のメリットを挙げると、以下のようになります。
・身の回りの自立が早い
・子どもが、幅広い年齢のお友達と接することができる
・好き嫌いがなくなり、いろいろな食材を食べられるようになる
・ママ同士のお付き合いがあっさりしていて、ラク
保育園の先生は、しつけ・生活面での指導スキルが高いと感じました。
トイレトレーニング、歯磨き、寝かしつけ、イヤイヤ対策など、「こうしたらいいですよ」というアドバイスは毎回「さすがプロ!」とうなることばかり。
保育士の先生だけでなく、園の栄養士の先生も食育の活動をしてくださったり、食事の相談にのっていただいたり、頼りになりました。(子ども3人・神奈川県)
入園前は偏食がひどくて、「保育園での給食、大丈夫かな…」とだいぶ心配していましたが、あっという間にいろいろな食材を食べられるようになって驚きました。集団の力ってすごい!
食事前の手洗いやあいさつなど、生活のマナー面もしっかり指導していただき、当時下の子のお世話で忙しかったので、上の子の幼児期のしつけを担っていただいたのは大変助かりました。(子ども2人・千葉県)
下の子がお世話になった保育園は、たて割り保育で異なる年齢の子どもとの関りが多かったためか、いい意味で逞しい子になったと感じます。
小さい子に対する優しさ、大きい子から学ぼうとする姿勢、自分の意見を伝えようとすることなど、社会性が身についた気がします。(子ども2人・東京都)
トイレトレーニングを全部、園でしていただいて、家でほぼ何もせずに済んだのは感動! こんなにあっさり?? と拍子抜けするほど短期間で終わって、保育のプロってすごいなあ、と思いました。(子ども2人・埼玉県)
みんな働くママなので、ママ友のお付き合いが比較的あっさりとしていました。登降園時のムダな井戸端会議がなくてよかったです。社会で活躍されている方が多く刺激になりました。基本的に親の出番があまりなく、園にいろいろおまかせできるのも負担が少なく助かりました。
臨機応変にいろいろと対応してくださり、フルタイム共働きには本当にありがたかったです(子ども2人・東京都)
保育時間の長い保育園は、両親が共働きの場合は特に、メリットが大きいですね。
園で1日の大半を過ごすため、「健やかな生活を送る」ことに重点を置き、基本的な生活習慣、集団のルールやマナーを早い時期に学ぶことが期待できます。
給食が提供されることから、全員で同じものを食べる毎日の中で、好き嫌いがなくなりいろいろな食材が自然と食べられるようになることも。
「なんでも食べられる子ども」になる、という食生活の面でのメリットは、複数のママが挙げています。
異なる年齢の子どもが一緒に過ごす「たて割り保育」を取り入れている園も多く、上の年齢の子が下の年齢の子のお着替えを手伝ったり、遊びの面でお世話をしたりするシーンも。
いろいろな子どもとのコミュニケーションが生まれるため、社会性が養われていると感じるママが多いです。
早ければ0歳から集団の中で生活するため、年齢に応じた自立を求められるのも早く、いろいろなことを「自分でする意欲」が育ち、「生活の自立が早いのが保育園育ちのよさ」と感じる人が多い傾向があります。
身の回りのことを自分でひと通りできる子どもが多く、「逞しい」、「元気」、「大人びている」という印象の子どもが多い、という印象です。
体験談5.幼稚園のメリットは、「教育&親子の時間」
次は、幼稚園のメリットについて挙げてみましょう。
・我が子に合う園を選ぶことができる
・施設が充実している
・降園後に時間があり、親子の時間が持てる
・道徳的な教育効果が期待できる(宗教のバックボーンのある園など)
・ママ同士が仲良くなりやすい
一番上の子は幼稚園に通いました。しっかりとした教育カリキュラムがあり、日々、成長が感じられました。いろいろな学習に力を入れていて、運動、歌、絵画、英語は専門の先生が教えてくださいました。文武両道という感じで、自主性も身に付いたと思います。(子ども3人・神奈川県)
下の子が通った幼稚園は、「お受験幼稚園」といわれるところでした。朝のローテーション(体操、鉄棒、マット運動など)から始まり、本読み、暗記、アートやメロディオンなど、教育面でとても充実していました。親の参加も多い園で忙しかったですが、「幼稚園と家庭の両輪で一緒に子育てをしている」という感じがあり、心の支えになったし、親も学びが多かったと感じます。降園時間が早いので、公園に寄ったり一緒に夕食の準備をしたりと、子どもと過ごす時間も多く取れました。(子ども2人・千葉県)
キリスト教系の幼稚園でしたが、宗教色はそれほど強くなく、自然の中でたくさん遊んでのびのびと過ごしました。一方、礼拝を通して道徳観や聞く姿勢が養われたり、年長では丁寧に文字まで教えていただけたりしたので、小学校に入ってからスムーズでした。同じ園の卒園児には、言葉遣いがきれいな子どもが多い印象を持っています。(子ども1人・千葉県)
先生方がとても丁寧に子どもを見てくださって、教育面での指導が素晴らしかった。手先の巧緻性や運動能力が身に付きました。歌ったり、本を読んだり、遊びの中にもいろいろな学びを取り入れて下さり、良い面を伸ばそう、お互いに切磋琢磨しようという雰囲気。保育料も高かったですが満足しています。施設のセキュリティや防災対策も万全で安心できました。(子ども2人・東京都)
幼稚園では、やはり教育カリキュラムの充実をメリットとして挙げる声が目立ちます。
モンテッソーリ教育やレッジョ・エミリア教育など、欧米の伝統ある教育メソッドを取り入れている園があったり、小学校受験を意識した教育を行っていたり組んでいたり、ネイティブ講師による英語、専門の先生による運動、絵画や音楽・楽器などの芸術活動、プログラミングといった独自のカリキュラムがあったりと、「こんな教育を受けさせたい!」という理想をかなえてくれる園もあります。その多彩さが魅力と言えるでしょう。
園によっては、盛大なひな祭りを行ったり、クリスマスの生誕劇、運動会や発表会でのレベルの高いパフォーマンスなど、子どもの成長を促し、親心も満たしてくれる楽しい行事があったりも。
ハサミの使い方、絵の描き方、鉛筆の正しい持ち方、文字の書き方、詩やことわざの暗記など、小学校の授業(もしくは小学校受験)を意識した内容を取り入れていたりと、座って落ち着いて先生の話を聞ける子どもが多い傾向もあるようです。机に向かってひとつのことに取り組む集中力が養われるという声もよく聞きます。
保育園に比べて標準保育時間が短いため、降園後に親子で過ごす時間にゆとりが持てることも特徴。幼稚園からの帰り道に公園で遊んだり、家に帰ってからゆっくりと親子でおやつを食べたり、またはピアノや公文など幼少期から取り組みたい趣味や習い事に通ったりということもできますね。
逆にいうと、仕事を持っているママには大変な面も。
園庭や園舎が広かったり、遊具が豊富だったりする場合も多いようです。
そうした特徴から、通いやすさよりも、園の特色や教育内容を重視して、遠方から入園する方もいて、幼稚園バスが充実していたりすることもあります。
フルタイムで働いているママが少ない傾向があるため、親の園行事への参加は多め。
また、ママ同士のお茶やランチの機会も多めな傾向です。園のお手伝いやランチ・お茶会を通して有益な子育て情報を交換したり、気の合うママ友と出会って親子ぐるみで仲良くできたり、というのもメリットとして挙げられるでしょう。
逆にいうと、こうした「ママ友付き合い」が苦手・煩わしい・難しい、と感じる人には、ハードルが高い面もあるかもしれません。
後半記事に続きます。